会社を辞めたいけど、言い出す勇気がない…
退職したいけど…、時間ないし面倒くさい…
退職を考えている人は、「退職代行」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?
- 退職代行って聞いたことあるけど、何をしてくれるのかわからない
- 怪しそうだし、いいイメージが無い
- 本当に辞めれるのか不安
退職代行に対して、こういった印象がある人も多いのでは?
わたしも退職をするとき、半年も引き止められて、そのままズルズルと辛い思いを我慢しながら働き続けた経験があります 泣
あの時、退職代行サービスを使っていれば、「もっと早く転職したり有益な時間を過ごせたのに…」と、後悔することもあります。
同じような境遇にいる方のために、この記事では、退職代行を知らない人にも伝わるよう「徹底的に」、「わかりやすく」説明していきます♪
退職代行ってそもそも何?
退職代行は、さまざまな理由から、なかなか会社を辞めることができない人のために、会社を辞めることをサポートしてくれるサービスです。
- 会社に退職したいと言っても止められる
- 上司に退職を伝えて怒られるのが嫌だ
- ブラック企業で脅しが怖い
- 残業ばかりで退職手続きをする暇がない
こういった方たちに、心強いサポート役として、退職を後押ししてくれます♪
簡単には、
- 退職に関する様々な連絡を仲介してくれる
- 会社間と依頼者の「伝書鳩」や、上司からの「サンドバッグ」になってくれる
- 業者によっては、退職に関わる交渉をしてくれる
- 会社から退職の承諾を得るまで、相談にのってくれる
などが主なサービス内容です。
そのほか、退職代行の担当者が弁護士などであれば、残業代の未払いや退職金などの「退職に関わる交渉」も依頼者の代わりにしてもらうことができます。
アルバイトやパートでも利用できますが、辞める手続きが面倒な正社員の方の利用が多いです。
パートやアルバイトは退職手続きが簡単でバックレやすいから、退職手続きが複雑な正社員の方が利用者が多いんだね
正社員が辞めにくい例として、ブラック企業やパワハラ上司から抜け出したくて、「退職したい」と言っても、なかなか簡単に辞めさせてもらえないケースです。
たまに聞くのがこういった例。
「会社が人手不足なのに辞めるのなら、損害賠償を請求するぞ!」などと脅された場合でも、ほとんどが単なる脅しです。会社が回らなくなっても、それは会社のせいで、従業員に責任はありません。実際に訴訟を起こしても、ほとんど勝ち目はありません。
そうはいっても、入社直後に突然退職して、実際に損害賠償が生じたケースがあります。
それは、200万円の請求に対して、70万円の支払いが命じられました(ケイズインターナショナル事件 H04.09.30東京地判)
この事件は、「せっかく君を採用したのに早期退職されたから、期間3年のビルインテリアデザイン契約が解約されてしまった!本来得られるはずだった1,000万円がパーになった!200万くらい払えー!」っていう会社側の主張だったんだ。
訴えられた男性が支払いを拒み続けたところ、裁判に発展し、結果的に70万円を支払うことになったんですね。
稀にこんなケースはありますが、ほとんどが脅しです。
こちらは冷静に、正式な手続きを踏んで退職手続きを進めましょう。
そもそも退職を引き止めるために脅しをかけてくる会社は、ブラック企業間違いなし!早く去った方が無難です
退職代行を使う流れ
退職代行業者に相談してから、実際に退職する流れは、ざっくりと以下の流れになります。
「依頼者が退職届を送ったとのことなので、確認してほしいそうです」と伝えられます
およそ、こういった流れで退職することになります。
- 退職届を送ったら、家に誓約書が送られてきたけど、どうしたらいいの?
-
サインをする義務はありません。安易にサインをしないようにしてください。
中には自分にとって不都合になることも書かれているので、よく読んで署名するか決めてください。署名しない場合は、「お断りします」といった内容の紙も封筒に入れて、会社に送り返せばOKです。 - 退職届を送ったのに、会社が離職票を送ってくれません
-
会社が離職票や源泉徴収票など、退職に関する書類を送ってくれなくても、心配はいりません。ハローワークや年金事務所、税務署など、それぞれ公的機関にて再発行をすることができます。
退職代行の種類(できること・できないこと)
退職代行と言っても、運営元によって大きく3つの種類に分かれます。
- 民間企業
- 労働組合
- 弁護士
同じ「退職代行サービス」でも、運営元によってできる範囲が変わってきます。
それぞれ特性を紹介していきます
民間企業 | 労働組合 | 弁護士 | |
---|---|---|---|
依頼者の退職意思のフォロー | 可能 | 可能 | 可能 |
退職に関する交渉 | できない | 可能 | 可能 |
訴訟の対応 | できない | できない | 可能 |
- 民間企業
-
- できる範囲が最も狭い
- 低価格な業者が多い
- 依頼者による退職意志をサポートしてくれる
- 労働組合
-
- 団体交渉権があるので、退職に関わる交渉が行える
- 弁護士よりも価格は低い
- できる範囲は民間企業と弁護士の中間
- 弁護士
-
- 依頼者の代わりに退職の意思を伝えてもらえる
- 退職に関わる交渉を代行してもらえる
- 訴訟を起こされても対応可能
- 一番料金が高い
民間企業は本人の代わりに会社と交渉することはできないので、その分価格が安いのが特徴です。
退職条件は何も無いし、とにかく辞めたい!会社も上司が嫌なだけ!会社ともたぶんトラブルにはならない!というような場合には、民間企業を使うのがコスパ的にも○
民間企業の中でも、「顧問弁護士」の監修があるものがあります。ただし、実際に退職を代行する担当者が弁護士ではなければ、交渉などは行えません
弁護士は、「会社とトラブルになりそう…」と不安な方や、退職に関して譲れない条件がある方にはオススメです。
ただ、いきなり弁護士を使うと、会社側も「あっちが本気ならこっちも本気出す」と、弁護士を立ててくることもあるので注意が必要。
退職代行サービスは様々な種類があるので、自分の置かれた状況に応じて、適切な退職代行業者を選んでくださいね♪
- 自分がどこまで交渉したいか(交渉が不要なら民間企業でOK)
- 訴訟など、会社が強気に出てきそうかどうか(戦いたいなら弁護士)
未払い残業代の請求や退職条件、退職日の調整など、自分の代わりに「交渉」をしてほしい場合は、必ず労働組合か弁護士が運営するサービスに依頼してください。
交渉を自分で行う場合は、交渉内容を書面に書いて郵送&民間企業を使うこともできますが、交渉がうまくいかない場合、結局は会社の人と話すことになるので、せっかく退職代行サービスを使っても本末転倒になりかねません。
- 急に会社を辞めて、本当に損害賠償請求されないのでしょうか
-
退職することで業務に穴が空いたとしても、それだけでは損害賠償の対象にはなりません。
会社は従業員を雇っていて、従業員の業務により利益を得ているため、その業務の中でおきた損害も一定程度は会社が負担するべきものとして、損害賠償請求をすることが制限されています(専門用語で「報償責任の原則」と言います)ただし、報償責任の原則の範囲を超えるような違法行為を行った場合は、損害賠償をされる場合があります(例えば転職先に会社の秘密情報を漏らす、横領をした、Youtubeに不適切な動画を投稿した、など)
退職代行を利用するのに注意が必要な雇用形態もある
退職代行を利用する上で、雇用形態が以下に当てはまる場合は注意が必要です。
- 有期雇用
- 公務員
正社員のように雇用期間が定められていない場合は、年俸制、月給制に関係なく、2週間以上先の日を退職日に指定して退職する意思を伝えれば、その退職日に退職することができます。(民法627条1項)
もし退職日を伝えなければ、退職の意思を伝えた日の翌日から2週間が経てば雇用契約は終わります。
退職代行サービスはこのルールを上手く利用したサービスなんだね!
有期雇用の場合
契約社員や派遣社員など、雇用期間が決まっている有期雇用の場合は、退職できる条件がシビアに決まっています。
- 「1年を超える期間」が雇用期間となっている場合
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働き始めてから1年を経過した後は、いつでも退職可能(労働基準法137条)
- 「1年以内」が雇用期間となっている場合
-
雇用期間が自動更新された場合はいつでも退職可能(民法629条)
このように、ある程度働いた期間が無いと、自由に退職できないようになっています。
ただし「1年以内」が雇用期間となっていて、かつ自動更新されていない場合でも、「やむを得ない事由」がある場合は、すぐに退職することができます(民法628条)
やむを得ない事由には、病気・けが・妊娠・介護だけではなく、精神的な不調や、賃金の未払いなど会社の法律違反も当てはまります
正社員に比べると辞めるための条件が多いので、退職代行サービスを利用する前に、雇用期間を確認しておいてください。場合によっては必ず退職できるとは限りません。
とはいえ、会社側も出勤しない従業員に対して社会保険料を払うのは嫌なので、辞められるケースが多いです。
申し込みの前に無料で相談できるところも多いので、退職代行を検討している方は、ぜひ確認してみてください。
有期雇用の場合は、退職届だけじゃなく退職理由を書いた書類も送ると安心だね
公務員の場合
公務員や自衛隊員に関する特別法は、民法のルールよりも優先されています。
公務員の場合、国や地方自治体ごとに決められた書類があったり、様々なルールがあるため、退職代行サービスを使う際には注意が必要です。
公務員の場合、退職代行サービスを使ったとしても、一度も出勤することなく退職できない可能性もある
公務員の方は、退職代行サービスを利用する前に、まずは職場の退職ルールを改めて確認してから、退職代行サービスが活用できるか検討してみてください。
退職代行を使うメリット・デメリット
退職代行を使うにしても、それぞれ良い点と悪い点があります。
退職代行を使うメリット
退職代行を使う、大きなメリットは、ズバリこちら。
- ブラック企業をすぐに辞められる
- 利用者は一度も出社する必要がない(会社とのやりとりは基本的に郵送)
- 嫌な上司と会話することなく辞められる
繰り返しになりますが、正社員の場合、会社が認めていなくても、退職届を提出した日から2週間がたてば雇用関係を解消させることができます。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
条文にも「会社の許可」が必要とは書かれていません。
つまり、別に退職代行を使わなくても、出社せずに自分で退職届を出して2週間待てば、退職することができるのです。
退職は民法で認められている権利です
もし就業規則に「退職には会社の許可が必要」と書かれていたとしても、民法に違反し、無効と考えられています。退職届を出せば退職できることには変わりません。
ただ会社からすると「喧嘩を売っている」ように思われてしまい、トラブルに発展するリスクが高まってしまいます。
例えば…
- 会社から電話がかかってくる
- 家族に連絡が行く
- 家に訪問される
うまくかわせたとしても、引継ぎができずに連絡も取れない…となると、損害の責任をなすりつけられたり、退職後の手続きがスムーズにいかず面倒なことになるリスクが高くなります。
そこを、退職代行が間に入って取り持ってくれます。
退職代行という「第三者」が入ることで、会社に対し監視の目が行き、心理的に退職者に対してひどいことをしにくくなるんですね。
退職者に対する罵詈雑言なども、退職代行が代わりに受け止めてくれます。嫌な上司と対峙する必要がなくなって、精神的な負担が軽くなるんだね!
最大のメリットは、会社と面倒なやりとりをしないで済むので、心の負担が軽くなること
「辞めたいけど辞められない」そんな方の背中をグッっと押してくれます。
「急に辞めたら周りに迷惑がかかるし…」なんて思うかもしれないけれど、退職の自由は法律で認められた権利!自分にとって何が一番大切か、改めて考えてみて
退職代行を使うデメリット
逆に、退職代行のデメリットはこちら。
- お金がかかる
- 自分で会社とやりとりできる人には向かない
- 急に辞めるので、お世話になった人にきちんと挨拶ができない
最大のデメリットは、数万円の費用が必要になることです。
本来、退職すること自体は退職代行サービスが無くてもできるのですが、サービスを使うと、どうしてもお金が必要になってきます。
逆に言うと、退職代行サービスは、自分の意志で会社と対峙し、退職ができる人には不要なサービスと言えます。
また、急に辞めることになるので、普段会社でお世話になった人にきちんと挨拶をしたいと思っても、なかなか会社には行きづらくなります。
退職することを秘密にしていると難しいけど、辞める前にそれとなく感謝の気持ちを伝えておこう
- 就業規則に「3ヶ月前」と書かれているけど、2週間で本当に辞めれるの?
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はい、2週間で辞めることができます。
なぜなら、「3ヶ月前」と書かれている就業規則自体が、法律に抵触し、原則「無効」と考えられているためです。ただし、2週間というのは正社員(雇用期間が定められていない場合)が前提です。契約社員などの有期雇用の場合は正社員とは違うルールになるため、注意してください。 - 転職先の会社から前の会社に問い合わせがあった時、退職代行サービスを使って退職したことがバレて、転職に不利にならない?
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可能性はゼロではありませんが、可能性は相当低いです。
なぜなら個人情報保護法により、原則として「本人の同意なく、個人情報を第三者に提供してはならない」ためです。昔はこういった「前職調査」が行われることがよくありましたが、個人情報保護法の試行によって、前職調査を行う会社は激減しました。
自分から「退職代行サービスを使った」と言わない限り、退職代行を使ったことは転職先の会社には伝わらないと思って大丈夫!
退職代行サービスの料金相場は?
退職代行サービスの値段は、数万円のことが多いです。
相場は3~5万円前後
ただし、民間企業と弁護士ではできる範囲が違うので、若干、料金に差があります。
その他、以下のような傾向もありますが、概ね3~5万円のところが多いようです。
- 弁護士や労働組合が運営するサービスの方が高い
- アルバイトより正社員の料金を高めに設定していることが多い
退職代行を使う時にするべきこと
退職代行を使えば、何もせずに辞められるわけではありません。
退職代行を使った場合でも、しなければならないことを紹介します。
退職届を会社に郵送する
退職届は、基本的に自分で作成し、会社に届ける必要があります。
一般に民間企業が退職の意思表示を代わりにすると「非弁行為」という法律違反になる可能性があるため、あくまで退職の意思表示は自分でする必要があります。
ただし、退職代行を行ってくれる担当者が弁護士や行政書士の場合は、代筆をしてくれる場合があります(その場合は、1万円前後の追加料金になることがほとんどです)
わたしも自分で作成して退職しましたが、退職届は紙1枚なので、そんなに難しいものではないです
ちなみに「退職届」は「退職願」は、意味合いが全く違います。
退職届は、退職願とは違って会社が受け取りを拒否することはできません。間違えて退職願を送らないように!
ただ、会社から「届いていない!」などと言われないためにも、送付の際は配達の記録が残るように「内容証明郵便」や「特定記録郵便」などを使用しましょう。
引き継ぎのメモを残す
会社を辞める前に、上司や後任者など、会社に対して業務の引継ぎを行うようにしてください。
法律では「信義誠実の原則」という決まりがあって、退職の権利を行使をするのに、会社の今後のためにも誠実に対応する必要があるんだ
引継ぎをしなかったことによって会社が損害を被った場合、会社から損害賠償を請求される可能性もゼロではないので、トラブル回避のためにも引継ぎはしておくのが無難!
引継ぎの方法は何でも良いけれど、紙やデータなどの資料に残す方が親切です。
- 資料を作成し、事前に関係者に口頭で説明する
- 説明するタイミングがない場合は、メモだけでも作成して、関係者にメールで送るか、会社に置いておく
面倒だと思っても、後々のトラブルを避けるためにも、最低限の引継ぎはしておきましょう。
会社からの備品などを返す
会社から貸与されているものを返す必要があります。
会社に返却しなければならないものの一例がこちら。
- 健康保険証
- 制服や作業服
- ロッカーの鍵や入館証
- 会社支給のPCや携帯電話
- 社員証や社章バッチ
これらは、出社している間に担当者に渡したり、デスクの上など、わかりやすい場所に置いておきましょう。
出社するタイミングがない場合は、配達されたことがわかる「簡易書留」などで郵送しても大丈夫です
社宅の場合、転居先を確保する
会社の社宅や、会社借り上げのマンションなどに住んでいる場合、すぐに引っ越せるよう、引っ越しの手配をしておきましょう。
家探しと引っ越しは時間がかかるので、できる限り「退職前」に引っ越ししておくのがオススメです!
私物を持って帰っておく
デスク周りには意外と私物が溢れているもの。
会社に置いている私物を、少しづつ持って帰りましょう。
一気に持って帰ると、荷物が多くて怪しまれるので、少しづつ持って帰るといいよ
怪しい退職代行業者の見分け方
退職代行サービスの数はとても多く、残念ながら中には確かに違法行為を行っている業者や、明らかに高い金額を要求してくる業者もいます。
複数の退職代行サービスのサイトを見比べて、比較検討して決めてください。
中でも、こういったことを謳う業者には注意が必要です。
- 「業界最安値」と謳っている
- 「即日退職」を掲げている
- 「期間限定サービス」と記載があるのに、期間が明確ではない
- 会社名に特徴がありすぎる
即日退職ができるのは、会社が同意した場合だけです。会社が同意してくれないと、即日退職はできません。「即日退職OK!」と謳う業者でも、必ず即日退職できるとは限らないので注意してください
ただ、即日退職が無理でも、会社から籍が抜けるのは最短2週間後です。
明日から有給休暇を使うことで、明日から出社しないのは可能です。
たくさんあって迷ったら、実績が多い代行業者を選ぶのが無難!
多くの退職代行サービスは、事前に無料で相談することができるので、複数の業者に質問をして比較してみてね!
中には嘘の説明をする悪徳業者もあるので、相談の時は証拠が残るよう、公式LINEやメールなど、文面に残る方法がオススメです。
まとめ
退職代行を使うというと、「無責任だ」とか、「自分で辞められないなら、次の会社に行ってもすぐに辞めそう」といった声も、確かにあります。
でも、わたしはそう思いません。
なぜなら、そういった声を上げる人達は、あなたの人生を保障してくれるわけではないからです。
自分を守れるのは、自分だけ。
自分が職場でどんなに辛い思いをしているのか、他の人にはわかりません。
「自分の口から退職を伝えないなんて、けじめがない」なんて、自分を責めなくて大丈夫!自分の口から伝えられないのは、会社と従業員の間に信頼関係がなかった証拠なんです。
この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。